2014/11/12

地域医療問題を考える

11月10日・11日「地域医療問題を考える」セミナーが東京で開催され参加した。
講師は 城西大学経営学部教授 伊関友伸氏。埼玉県庁に入庁し社会福祉、健康福祉等に関わり退職後城西大学助教授となり、地域医療・自治体病院などを研究テーマとしている。
一日目は「地域医療再生への処方箋」というテーマで話された。特に自治体病院の問題点、在り方について考えを述べた。医師不足について2004年から実施された「新臨床研修制度」により若い医師が都会の大病院を研修先に選ぶ結果となり地方の大学医局に残らなくなった。そのため地方の自治体は大学医局に依存していたため医師不足を招く結果となった。これはよく言われていたことである。また自治体病院だけではなく、現在の医師の診療が特定の臓器を専門的に診るようになり、生活習慣病の患者に対しては血圧は循環器内科、糖尿病は内分泌内科、慢性胃炎は消化器内科というように複数の医師でないと診療できなくなってきている。その人の体すべてを診ることのできる総合診療医の養成が必要である。
自治体病院の経営を悪化させる大きな原因が職員定数の制約である。自治体は職員数が条例で決まっていて医師を増やすことが簡単にできない。現在の医療は人を雇用することで加算を取り収益を向上させる。職員定数で人の採用を制約することが病院経営にとってマイナスとなっている。確かに条例というものがあり勝手に増やすことができないのは自治体病院の難しい側面であると思う。富士見高原病院(厚生連)では当然毎年の事業計画に要員計画が盛り込まれ定数は定められている。しかし現在の統括院長の方針は優れた人材は計画をオーバーしても採用する。当然人件費の高騰に直結するわけだがそれに見合った収入を確保していた。だからこそ現在の富士見高原医療センターがあそこまで大きくなったのである。また伊関講師は「自治体の総務・人事の担当は病院の職員を増やそうなんてだれも思っていない。むしろ減らそうと考えている」とも話された。
二日目は「これからの社会と社会保障」であった。TPPにも触れ特に医療への影響について考えを述べられた。混合診療・株式会社の医療参入を全面的に解禁することを求められる可能性がある。無制限に混合診療を認めると金持ちは良い医療を受けられ金のない人は医療を受けられない格差を生む可能性がある。また利益の上がる最先端医療ができるのは都市、医師の地域偏在が加速する可能性がある。また治療効果のない詐欺的治療法が蔓延する。また医療政策が明らかに失敗しているアメリカの医療を目指そうとしている。つまり自由診療分は民間の医療保険で対処させようとしている。マスコミも混合診療解禁に熱心なのは、読売・日経であり特に日本経済新聞は混合診療があたかもバラ色の医療のように書きまくっている。日経は確信犯であると述べられた。私も混合診療全面解禁反対は講師と考えが同じである。
二日間大変有意義な話を聞かせてもらった。また感心したことは配布された資料。とかく細かい字で表、グラフもなどパワーポイントの画像をプリントしたものが配られるのがふつうであるが今回の資料は講師が話されることをストレートに要領よく太く大きな文字で書かれて見やすい。ほとんどメモを取る必要がない。この資料は保存する価値がある。
伊関友伸先生のこれからのご活躍を期待したい。
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プロフィール

加々見保樹

Author:加々見保樹
山梨県との県境、長野県富士見町葛窪の住人
現在富士見町議会議長です。

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